2学期始業式の話
皆さんの夏休みはどうでしたか?

多くのことがあり一言では言えないかもしれませんね。

私も皆さんの活動を見ながら感動を共にさせてもらいました。

無事に夏休みを終えられたことに神様に感謝しましょう。

 

(ドンボスコへの祈り)

 

今日はこの夏私が個人的に感じたことを3つほどお話させてください。

 

一つ目はドンボスコ生誕200周年についてです。
この夏トリノでは大学生、若い社会人が5000人以上世界中から集まり

World Youth Movement in Turin というイベントに参加しました。

日本から参加した二十数名の若者もドンボスコというだけで何千もの若者が世界中から集まり、

一つのアイデンティティーを共有することができることに感動したそうです。
イタリア、フィリピンのサレジオの学校を訪問した諸君は

サレジオ学院もこのドンボスコという共通の父を持つ世界的な仲間の一人である

ということを体験したことでしょう。

世界的な絆につながっているサレジオ学院です。

 

二つ目は「平和」ということです。

今年の夏は戦後70年ということで

戦争を体験した人々が当時を振り返って語る番組が数多くありました。

多くの方が家族や親しい人を失った悲しみ、痛みを語っていました。

その痛みはともすると憎しみへとつながっていきます。
戦争とは結局自分の親しい人、愛している人を失う経験、憎悪と復讐の連鎖を生み出すもの、

そして憎悪と復讐の連鎖は新たな戦争を生み出すのだと感じました。
つまり武力、戦争によっては永久に平和は達成できないわけです。

軍備の増強、パワーバランスによっては真の平和は達成できません。
平和な世界を作り出すためには暴力を使ってはいけないということ、

これは教皇ヨハネ・パウロ二世の言葉「戦争は人間の仕業です。

戦争は人間の命の破壊です。戦争は死です」という言葉に強く言われていることです。
今日ドンボスコが皆さんに求めていることの一つは

やはり平和を築くことに貢献する人になってほしいということでしょう。

国や地域を超えた共通の絆をもつ世界のサレジオの若者は

平和と一致を築く使命と力を持っているのです。

 

三つ目は情報化社会、具体的にはSNS のことについてです。
私たちは情報化社会の中にいます。

インターネット、SNSなどによって多くの情報を瞬時に手に入れることのできる世界に生きています。

世界は小さくなりました。まさにIt’s a small world.です。
しかし果たして私たちは本当に多くの情報を手に入れているでしょうか。

この夏日本の安全保障に関して国会で論議され、それについて多くの人が意見を述べています。

facebookでも多くの人の意見がアップしていました。

特徴的なことは、facebook内のコミュニティーは賛成か、反対かで

はっきり住み分けができているということです。

両者は決して交わらないし、建設的な意見交換がありません。

感情的な言いっ放しで、相手を受け入れよう、自分が歩み寄ろうという視点が見えません。
それを見て私はこのように感じました。

私たちはSNSを通して、たくさんの人とお友達になって自分の世界が広がっているように思えるけれど、

実は同じ意見のグループだけに囲まれ、違った意見はますます聞こえにくくなるのではないか。

そのため世界中の人が自分と同じ意見だと思ってしまうのではないか。

SNS の中の世界はともすると単一文化、モノカルチャーだと感じました。

SNSがいい、悪いというのではなく、SNSはそうゆう環境だと意識しないと危険だなと感じました。
単一文化であるということは別の言い方をすれば非常に限定的であり小さな世界であるということです。

自分の精神的コミュニティーは実は小さい。It’s a small world.と言えるかもしれません。
何が大切でしょうか。

あえて自分の意見と違う意見に触れてみる、対話してみることです。

少なくとも自分の世界から一歩踏み出して、対話をしてみる。

多様性をもった世界に触れるということです、「あえて」。
意識して皆さんも自分とは自分とは異なった世界、自分とは異なった意見と接してみてください。
以上私が個人的に感じた3つのことをお話しました。
それでは2学期も頑張っていきましょう。