良いものを伝え続ける
ドン・ボスコは事業を永続的に続けるために修道会を作りました。その時に、多くの修道会が創立者の名前を取って名づけるのに、彼は自分の名前を付けずに、サレジオという名にしたのは、16世紀のジュネーブの司教フランシスコ・サレジオに傾倒していたからです。プロテスタントの拠点であった宗教都市ジュネーブに派遣されたサレジオ司教は、非常に庶民的な方でした。一人で異教徒の中で宣教するのは大変でしたが、小さな小冊子などを印刷して配布し、教会では分かりやすいお話をして人々の信仰を深めていきました。ドン・ボスコはこのサレジオ司教に倣い、同じような方法で布教を始めました。また、アルフォンソ・リゴリ神父がイタリアで「オラトリオ」という青少年を教育する組織を作って活躍していた時代があります。ドン・ボスコはこのオラトリオの手法を取り入れました。独立運動と同時に産業革命が起こり、農村地帯から大都市圏に家庭教育を受けていない青少年が集中しました。彼ら勤労青年を集めてオラトリオを始め、のちに寄宿舎を始めますが、子供たちの世話を自分のお母さんやオラトリオに来ている子供のお母さんが行いました。いろいろな問題を抱いた子供たちは不安な心を持っていました。イタリアの家庭では寝る前にお祈りをし、お母さんは子供が安心して眠ることができるように短いお話をして寝付かせていました。これがボナノッテの始まりです。お母さんたちがこの世を去った時から、ドン・ボスコがお話をし、ドン・ボスコがこの世を去るころには、後継者たちがその習慣を受け継ぎました。このように、わたしたちの学校の創立者は、必要なものは何でも取りこみ活かしてきました。先人の知恵を学び、私たちも今必要とする糧を学ぶ姿勢を育てていきましょう。