ロシアの文豪トルストイは「誠実に生きるとき、人生において恐れるものはない」と言っています。勇気というのは、やましいところがなく、正直で晴れ晴れとした心の中に宿るのです。正直とはうそをつかないことですが、「これほど簡単であると同時に難しいことはない」と、よく言われます。人間は自分をかばうため、実際よりもよりよく見せるために、ついうそをついてしまうことがあります。しかし、うそをつくと、後が大変になります。うそがばれないようにまたうそをついたり、色々気を使ったりしなければ成らないことが出てくるからです。
鎌倉時代の禅宗の名僧である夢窓疎石は、「人は長生きしようと思ったら、嘘を言わないことだ。嘘は気を使い、少しのことでもあれこれと心配することになる。人はあれこれと心配すると命が短くなる」と言っています。つまり嘘をつかないで、正直であることが、一番楽であり、安心できるのです。
他人に対して嘘をつかないと言うことはもちろんですが、自分に対しても正直でありたいものです。
周囲の目をはばかって、自分の思いとは違うことを言ったり、行動したりすることや、周囲から自分の実力以上の高い評価を期待することも、実は自分を偽った心から生じる