2人の巨匠の映画の DNA は日本人
今年はハリウッド映画の人気シリーズの最新作が相次いで公開されます。スティーブ・スピルバーグ監督による「ジュラシック・パーク」の新作「ジュラシック・ワールド」が8月に、ジョージ・ルーカス監督による「スター・ウォーズ」の新作「スター・ウォーズの覚醒」が12月に日本で封切られます。この2人の巨匠に大きな影響を与えた日本人がいます。現在、大阪に在住している造形作家の丸山徹さん(70歳)です。
丸山さんは高校生時代から木製の模型飛行機作りの第一人者として知られていました。高校卒業後就職しますが、途中退職し、23歳で模型研究所を創設。建築模型や模型の塗装技術の開発などの仕事を行い、広告業界でも多忙な日々を送りました。しかし、過労がたたって入院し、その時に仕事を全てやめて渡米することを決めました。
渡米前に大手のゲーム会社から依頼された「宇宙戦争」の広告用イメージ画を手がけました。そのイメージ画には広大な宇宙に大きな宇宙船が何艘も描かれており、ルーカス監督はそれを「スター・ウォーズ」の冒頭の映像に採用し、イメージ画をもとに映画が造られました。
丸山さんは渡米して3年目にアメリカ有数の広告賞を受賞し、イラストレーターとしてアメリカでも有名になっていきました。その頃にスピルバーグ監督は丸山さんの腕を見込んで「リアルな恐竜の模型を作ってほしい」と仕事を依頼して来たのです。誰も見たことが無い恐竜を作成するにあたり、資料を集め、博物館に行って研究し、彫刻のような作業で原型を作り上げました。特に塗装は試行錯誤しながら塗装をし、土に埋めたりして、古代の野生動物の色に近づけていきました。こうしてできた模型をもとに「ジュラシック・パーク」の映画が造られました。この日本人がいなかったら、2つの映画は存在しなかったかもしれません。2人の巨匠は丸山さんにアメリカに残るよう願いましたが、それを拒み、今は大阪の郊外の閑静な地で、好きな模型飛行機を作って過ごしているそうです。
もし2つの新作を見ることがあったら、日本人の創作技術の粋を見てください。