マザー・テレサの言葉に感銘して、ある人はインドのマザー・テレサの修道院に行って、私もここで働きたいと願いました。すると、マザーは、「インドの貧しい人を救うために,あなたはわざわざインドまで来て働く必要はありません。その代わりに自分の周りの人たちに愛のわざを行ってください。そのような愛が世界の各地で広がっていけば,やがてインドの人たちも貧しさや飢えから開放されるでしょう。」と。
 昔上映された映画『ペイ・フォワード』の中で,主人公の少年は社会科の先生から次のような課題を出されます。「この世界をより良いものに変えていくためにはどうしたらいいか,それを考えて実行しなさい」。
この課題に対して,彼が考えついたのは次のようなものでした。1人の人間が3人の人に,その人のためになる良いことをする。そしてその3人は受けた好意を相手に返すのではなく,自分の周りにいる次の3人の人に贈る。つまり好意を相手にペイ・バックするのではなく,次の人にペイ・フォワードすることによって,世界中に愛の輪を広げていこうと考えました。
 マザー・テレサの話も映画『ペイ・フォワード』の話も,一人一人の小さな善意が,やがて世界を変えていく大きな力になりうることを私たちに教えています。世界を変えるというのはあまりにも大きな話ですが,毎日の生活の中で,周りの人への小さな善意と努力によって、少しずつでもそれに貢献することができればすばらしいと思います。
マザー・テレサは,次のような言葉で私たちを励ましています。
「このような仕事はすべて大海の中の一滴にすぎないものです。でも,この一滴を注がなくては,海の水は一滴分減るのです。さあ,始めましょう……ひとつずつ,ひとつずつ。」