「生きる権利~誰かのものを望むな~」
エジプトからイスラエルの民を脱出させたモーセは、シナイ山で神から「十戒」という掟をもらいました。「十戒」は、後にユダヤ人の律法の礎となった掟です。「十戒」の中の最後の掟は、「あなたの隣人の家のものをむさぼってはならない」とあります。「隣人のものを欲しがるな」と言う意味です。
「欲しい」と思ったら、「自分のものにしたい」そして「盗もう」という欲求が起こります。或いは、誘惑が起こるのかもしれません。それに負けて「盗む」行為に走りますが、「盗み」がうまくいかない時には、相手を陥れたり、相手の存在を殺そうとしたりします。そうして「盗み」がうまくいくと、次に自分の行為を正当化しようとします。誰かに偽証させたり、自ら偽証したり、あらゆる手を使って正当化するのです。
「神の十戒」には、「殺すな」「盗むな」「偽証するな」「人との関係を損ねるな」という掟もあります。「むさぼろうとした」時、同時に、他の掟をも破り、相手の生きる権利全てを台無しにすると言うことを十戒は、私たちに知らせているのです。それと同時に、実は自分の生きる権利も失っていることが多いのです。何かを望む時、それが正しい方向に向いているのかを確かめる必要があります。自分の居場所や生きる権利を自分のものにしたい人は、自分の心を正しい方向に向けて生きることが大切なことだと思います。