昭和21年。映画界における戦争責任者を炙り出し、その業界から追放しようという動きがあったそうです。その運動に賛同していると誤解された映画監督伊丹万作は、自らの立場を明らかにするために「戦争責任者の問題」という文章を認め、それが雑誌『映画春秋』に掲載されました。

 

伊丹は、当時、多くの人々が「自分たちは騙されていた」と考え、戦争の責任は「騙していた側にある」と主張していたのに対し、「騙していた側はもちろん、騙されていた側にも責任がある」と主張します。

 

その主張は、一見すると「振り込め詐欺は騙される方も悪い」と同じ構造で矮小化されがちですが、社会全体が騙し騙され、騙された者がまた騙しして大きな流れを形づくっていく中で、自分だけは流されないように踏みとどまるというのはおいそれとできるものではありません。

 

だからといって、流されてしまえばその事実は覆らない訳で、「そういう時代だった」とか「一人叫んでもどうすることもできなかった」とか言い訳をしたり、別の誰かを指弾して「あいつらが悪い」と転嫁したりしたところで、与えられた自由と思考力とを使わなかった責任をぬぐうことはできません。

 

今、日本人の多くは自分たちが戦争の渦中にあるという意識を持っていません。これは騙されているのでしょうか。それとも「戦争は既に始まっている」という論調の方が人を騙しにかかっているのでしょうか。いずれにしても、あなたは自分の下すべき判断を人に委ねてはいけません。

 

しつこいようですが、神が与えてくださった自由を、簡単に投げ出すことだけはしないようにお願いします。

 

試験準備、頑張ってください。