先週、聖書の言葉をご紹介しました。「だれでも持っている人は更に与えられて豊かになる」というものでしたが、実はこの現象、科学社会学・教育・ネットワーク科学…などの諸分野において「マタイ効果」として知られています。これは、福音記者マタイの名にあやかって命名されたものですが、実際には同じ表現が『マルコ』『ルカ』などにも見られるため、個人的には「マタイ効果」というネーミングに違和感があります。

 

さて、科学社会学におけるマタイ効果とは、2つの類似した研究がほぼ同時期に発表されたとしても、発表した研究者の名前がどれだけ売れているかによって、得られる信用・注目度が大きく違ってくる現象を指しています。この現象に従えば、有名な科学者は益々名声を博するようになっていきます。

 

聖書が本来伝えようとしていることとは趣旨が違ってきますが、世の中にこのような傾向があることは事実です。例えば「大学で研究をしたい!」と思った時に、実績のある大学ほど企業のバックアップが期待できたり、国立大学は研究予算が潤沢であったりするので、研究に打ち込む環境が整え易くなります。トップクラスでは、僅かな差が大きな違いとなって現れてきます。もし皆さんが、敢えてこのクラスの戦いに挑戦するつもりであれば、「実を結ぶだけの努力」を覚悟してください。過去の最善は、今となっては余裕かも知れません。