「自分を変える」が世界を変える

慰霊祭では元ハンセン病患者さんの家族の方からお話を伺いました。「癩予防法」(1931年制定)という療養所への隔離政策が、患者の治療、救済が目的でなく、日本政府の外国に対するメンツを保つためのものであったこと、また「無らい県運動」が、各県でハンセン病患者の存在を社会から消し去ろうとする目的であったことを学びました。この国の政策によって、患者さんとその家族は地域、親戚から爪弾きにされ、親子、夫婦がバラバラにされ、人生そのものを奪われたことに心を痛めたことと思います。

 

太平洋戦争後、治療薬ができ、治癒、社会復帰が可能になったのちも1996年まで「らい予防法」の撤廃が行われず、その間約50年不当に患者さんとその家族は差別され人権を侵害されたことも忘れてはいけないと思います。

 

話を聞いて「どうしてこんなことが起きるの?おかしいでしょ」とか「国は間違いに気づいていたのに認めようとしないなんてなんでひどい」と憤りを感じることでしょう。でも自分のメンツを優先すること、やってきたことは変更できないと思いこむこと、おかしいと気づいても自らの間違いを認めないこと、この三つは私たち一人一人、それこそ年齢や性別に関係なく誰の心の中にも巣喰う悪魔のささやきかも知れません。例えば言葉の暴力、人を傷つけることは良くないと思っていても続けてしまうこと、そしてそれを見てついノリではやしたてしまうこと。身近なところにありませんか?

 

みなさん、人差し指を伸ばして隣の人に向けるジェスチャーをしてみてください。そしてその手を見てください。相手に向いているのは人差し指の一本だけど、中指、薬指、小指の3本は自分の方を向いています。これ「他山の石」ですね。国を批判するその矛先は自分にも向ける必要があります。人を批判することは簡単です。でも自分にもその傾向があることを認めること、さらに変えることは結構チャレンジです。自分も国も変えるべき根っこが同じなら自分を変えていくことを通して世界を変えることができるとも言えるのではないでしょうか。

 

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