「勝負できるもの」を身につけるために
先日卒業生の結婚式を司式し、披露宴にも招かれました。テーブルでは広告業界の方々と同席させていただき、仕事のことなど面白い話を伺いました。印象に残ったのは彼らが口々に「何でもいいから勝負できるものを身につけることが大切だ」と言っていたことです。
自分が勝負できるもの . . .今の自分に 「これだ!」というものを発見することは難しいかもしれません。でも可能性を信じてチャレンジすること、何でも吸収していこうとする姿勢が「勝負できるもの」を身につける道筋かもしれません。一見無駄のように見えてもそれを貪欲に。
それと関連してドンボスコの経験もお話しましょう。ドンボスコは幼い頃から神父になることを望んでいました。そのためにはどうしても勉強が必要でした。しかし家が貧しく、中学時代には学費を稼ぐためにアルバイトまでしなければなりませんでした。放課後まずはレストランで給仕、パン作り、仕立屋、靴屋 . . . 勉強はアルバイトが終わって深夜くたくたになってからでした。「勉強をしたい、でも稼がなければ . . . こんなこと何の役に立つのだろうか?神父になりたいのに . . . 」ヨハネの悩みは深かったことでしょう。
しかしのちにこの経験は大いに彼を助けることになるのです。貧しい若者のために職業訓練校を開いた彼は自ら裁縫や靴の製造を教えることができたのです。そうです、中学時代に将来役に立ちそうにないと思っていた経験が実は彼を助けたわけです。
たとえそのときはやる意味がわからなくても貪欲にチャレンジしていくことが大切であること、そしてそのチャレンジが将来社会で勝負できる力を身につける道筋となることを卒業生の経験、ドンボスコの経験は皆さんに教えているのではないでしょうか。
試験が近づき、皆さんも大変な日々を過ごしていることでしょう。「何の役に立つの?」と思うかもしれません。でもこの試験勉強に貪欲にチャレンジし、将来勝負するものを身につけるための一歩を刻んでいってほしいと思います。頑張って下さい。