51期の皆さん卒業おめでとうございます。
皆さんにとってのサレジオ学院での6年間はどのようなものだったでしょうか。あっという間だったでしょうか。変化の少ない毎日の積み重ねの向こうに何があるのか見えにくかった時もあるかもしれませんが、そのようなものを乗り越えて今日という日があります。

皆さんの先輩にあたる一人の卒業生の話をさせてください。先日彼と食事をする機会があったとき、彼はこんな話をしてくれました。

今まで自分は椅子取りゲームをしていたように感じる。中学受験も大学受験も就活も椅子取りゲームで、真っ先に限られた数の椅子に飛びつき、座った椅子にしがみついていた。息苦しいけど、それは椅子の数が限られていたから。社会人となった今視点を変えてみたい。椅子取りゲームが嫌なら、椅子の数を増やせばいいじゃないか。自分はみんなが座れるように椅子を増やす仕事をしたい。
彼はこう考えて大手企業をやめ、アジア新興国に向けた人材育成支援を目的とするNGOに入ったそうです。

彼の志は真のグローバル人材の一つの具体的な形ではないでしょうか。

聖書にあるイエス様のたとえ話を思い出してください。 (マタイ25章31節〜)
イエス様は貧しい人、飢えている人、渇いている人、病気の人、牢屋にいる人に心を配ることを勧めています。でもそれは単に博愛主義や人道主義ではありません。なぜ貧しい人を助けるのか、それはイエス様がそうしたから、そして貧しい人の中にイエス様がいるからです。つまり貧しい人を助けることはイエス様を助けることなのです。「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」
イエス様が私たちに求めるこの生き方の中にサレジオ学院が求めるグローバル人材の姿があります。グローバル人材とは世界の中で光のあたらない薄暗いところに住む人を助ける人材のことです。かすかに聞こえてくる苦しむ人々の声を聞き分け、彼らを慮ってアクションを起こせる人のことです。
皆さんもサレジオ学院を卒業するにあたって、世界に生きている全ての人に椅子が行き渡るよう貢献する志を持って歩んでいってほしいと願っています。