2023年10月05日
キリストとともに生きるための「自己刷新」
キリストとともに生きるための「自己刷新」——16歳の少年と無名の司祭の謙虚さ
16歳の少年は1953年9月21日の聖マタイの祝日に心を新たにしました。教皇フランシスコの紋章に刻まれた「主が私を憐み、選ばれた」という一句は使徒マタイの召し出しの場面にもとづきます。2013年に77歳で教皇に就任したホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿は16歳の回心のときの気持ちを紋章に刻み込んだのでした。こうして少年期の最初の志は今でも保たれています。教皇フランシスコが若者を大事にする理由は自らの心の目覚めの経験にもとづいています。若者こそが自己刷新して成熟する可能性を秘めているからです。
その昔、とある集会に向かう途中で、急に祈りを捧げたくなったその少年はサン・ホセ・デ・フローレス教会に入り、ひざまずきました。すると彼は自分の真横を通った司祭の落ち着きと謙虚な姿が印象に残り、思わず個人面談を受けました。司祭からの助言を得て、少年はキリストを選び取って人生の新たな歩みに入る決意をしました。聖マタイの祝日に、心の底で働く神の後押しと謙虚な司祭との出会いがあり、少年の人生を変えました。
少年は「キリストのまなざし」を実感し、自分がありのままに受け容れられて招かれていることを確信しました。言わば「信仰の眺め」を理解し始めたことがホルヘ少年の自己刷新の始まりとなりました。しかし、絶えずキリストを選び続ける作業は死ぬまで繰り返される面倒なものであるとともに、もともとの頑固な性格との辛い闘いとなります。
「少年でも真剣に生きて重要な歩みを始めることができる」という信念は教皇自身の人生の歩みから導きだされた想いです。彼は自分自身の経験にもとづいて人びとを導きます。