2023年11月09日
相手の抵抗感を先に減らすこと
どのような活動の際にも必ず「抵抗勢力」が生じます。グループのなかで、誰かが新しい提案をかかげると、必ず反発する人がでてくるわけです。あるいは組織の指導者が改革を目指すときに、それまでの活動のなかで利益を得ていた人たちが強く抵抗するものです。たとえば組織の財政が破綻しそうなので、早急に経費削減、人員整理を始めなければ組織がつぶれるという状況で、指導者が急激な改革案をかかげると数多くの関係者が猛反発します。
「抵抗勢力」を抑えて改革を実現させるには、どうしたらよいのでしょうか。敵対する相手と真正面からぶつかり合って徹底的に闘えば、おたがいが傷つきます。ですから無益な争いは避けたいものです。それならば、相手の抵抗の原因を探って対処すれば、最小限の工夫で大きな利益を得ることができます。まず、相手の抵抗感を減らすことを優先すべきです。
「抵抗勢力」がかかえている不安は、大きく分類すれば次のようになります。
1.これまでのなじみ深さにこだわる(習慣を変えられない)。
2.めんどうなことを嫌う(苦労を避けたい)。
3.自分の気持ちを変えられない(自分の感情を保ちたい)。
4.それまでの生活を変えたくない(変わることに抵抗感がある)。
「抵抗勢力」の立場にある人は、それまでの自分なりの生活のパターンを変えるのがめんどうで、変化を極度に嫌います。ということは、改革を目指す指導者は、まず相手の生活パターンを学んでから、相手の気持ちを受け容れつつも、抵抗感を減らす協力をすることが先になります。いきなり改革案を掲げることを抑えて、まず相手の気持ちを聴くことが先です。
註
※以下の本からヒントを得ました。 Loran Nordgren and David Schonthal, The Human Element: Overcoming the Resistance that Awaits New Ideas, John Wiley & Sons , 2021.