2024年11月07日
「ルーチェと仲間たち」教会の「聖年」の巡礼キャラクター
イタリアのバチカンの丘にあるキリスト教の本部のローマ教皇庁は2025年に開催される「聖年」(聖なる一年)のためのイメージ・キャラクターを発表しました。「ルーチェと仲間たち」という設定です。「ルーチェ」と「鳩」と「天使」と「犬」が登場します。ルーチェとは光という意味で、巡礼の旅に参加する女の子のキャラクターです。鳩は平和のシンボルで、神の働きを巡礼者に実感させます。天使は旅の安全を保障する、神から派遣された警備担当の役目を果たします。犬は、神の計画に沿って相手を導く案内役です。
ルーチェの両目の中にはホタテ貝の殻の絵が描かれています。ホタテ貝は、いのちの豊かさのイメージを思い出させるシンボルであり、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステラの巡礼地を旅する人びとが首から下げる「おまもり」の形です。日本国際博覧会(大阪・関西万博)のバチカン・パビリオンでルーチェと仲間たちに会えます。
ところで「聖年」(「ヨベルの年」、「解放の年」;ラテン語:Iobeleus、英語: Holy Year, Jubilee Year)とは「ローマを巡礼する者に特別に罪のゆるしを約束するとともに償いの免除を与える」という意図で、14世紀以降の歴代の教皇によって定められた「恩赦の年」のことです。
当初は旧約時代の「ヨベルの年」(雄羊の角で作った笛[ヨベル]を吹き鳴らして神の慈愛が及ぶことを告げ知らせる一年)にならって50年ごとに行いましたが、「聖年」を迎えることができずに人生を終える人が多かったので、キリストの生涯の歩みの長さに合わせて33年ごとに行うようになり、さらには現在は25年ごとになりました。「ヨベルの年」とは、あらゆる借金が免除されて、人間らしく生きられるチャンスが与えられる一年という意味で、金持ちは貧しい人にお金を捧げて協力します。そして、貧しい人は金持ちの温情を受けながら人間らしい生活を取り戻せます。こうしておたがいに助け合う愛情に満ちた生き方を実現する社会の仕組みがイスラエルにはありました(実は単なる理想論で、実際に実行に移されたかどうかは確認できません)。その理想の伝統をキリスト教が受け継いだのです。
古代イスラエルの民はエルサレム神殿に巡礼しました。キリスト者もこの習慣を受け継ぎました。巡礼を志す者は自分のからだ全体を用いて祈り、自分の生涯が神に至るまでの長い旅路であることを五感全体で経験します。つまり巡礼の歩みは各自に人生の旅路の意味を再確認させる絶好のチャンスなのです。