8月21日、ドン・ボスコの生まれ故郷、イタリアはピエモンテ州でのこと。キノコ狩りをするために息子と一緒に森に入った90歳近いおばあさんが行方不明に…。捜索は難航。4日経っても安否不明のまま、5日目になって漸く無事が確認されました。良かったですね。ところで、高齢にもかかわらず、いわゆる「72時間の壁」を大幅に超えて生き延びられた、その秘密は何でしょう?

 

第一に、このおばあさん、若いころから登山が好きで、サバイバルのスキルと体力とを兼ね備えていたこと。次に、キツネが毎晩彼女を訪れ「ともだち」になれたこと。人が窮地に陥ったとき、孤独は猛毒になり得ます。しかし、寄り添ってくれる「ともだち」が彼女を孤独にはしませんでした。そして最後に、毎晩ロザリオの祈りを奉げていたこと。これは黙想しながらロザリオと呼ばれる数珠を手繰り、その度ごとにアヴェ・マリアの祈りを唱えるカトリックの伝統的な祈りですが、「死を意識し始めた」彼女に心の平静をもたらしたことでしょう。スキル・同伴・祈り…、つまり、自分・周囲の人々・神…。

 

世の中には、祈りを否定したり、祈る態度を否定したり、祈る人を否定したりする人々もいます。しかし、彼らは「本当の祈り」を体験していないに過ぎません。何事もそうですが、正しい心で、正しい仕方で真剣に取り組み、その結果本物を体験すれば、結論は変わってきます。本物の寿司を食べたことが無いのに寿司について我が物顔で語り、「寿司なんて大した料理じゃない」と発言する人がいたら、まだ、その人と寿司について議論する時ではありません。すべての人が途半ば、「自分・周囲の人々・神」に囲まれて真理を目指しているのです。

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