ドン・ボスコの大恩人バローロ侯爵婦人。婦人は、イタリア語で避難所を意味する「Refugio」という名で、恵まれない少女たちの施設を運営していたので、ドン・ボスコはオラトリオのためにその一角を借りていました。ところがある日、施設の明け渡しが言い渡され、ドン・ボスコは途方に暮れてしまいます。そんな折、失意のドン・ボスコに慰めを与えた夢のお話です。
 9歳の夢よろしく、例によって少年たちが争っています。空には無数の石とあらゆる怒号が飛び交う始末。すると、再び9歳の夢の「あの女性=マリアさま」が現れ、「彼らの中で働きなさい」と促します。ドン・ボスコは、言われた通り彼らを助けようと奮闘しますが、誰も手を貸してくれません。すると今度は「ここに場所があります」と何もない野原が示されました。その場所で、少年たちに聖書を説き、助言を与え、赦しの秘蹟を授けるドン・ボスコですが、ほとんど実りが感じられない。やはり、社会から見捨てられ、軽蔑され、拒絶された少年たちを導くためには、彼らを集めるための建物が必要だと痛感するのでした。
 続いて、「見なさい」と、再び女性が指し示す方向を見ると、小さな教会と低い屋根、小さな中庭、そして多くの少年たちが…。早速仕事に取り掛かり、次第に教会が手狭になると、さらに大きな教会と、その隣にある家が指し示され…と、このように、どのような困難に直面しても、その都度、サレジオ会の事業が発展していく様を夢で先取りしていたドン・ボスコですから、確固たる信念をもって歩みを続けることができました。
 はたして夢が先か信念が先か。いずれにしても、あなたもドン・ボスコの夢の登場人物の一人なのです。
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