「キャノン」という言葉
今日は「キャノン」という言葉のお話。まずは最近の野球ニュースでよく耳にした「甲斐キャノン」。ダイエーのキャッチャー甲斐選手の盗塁阻止率は驚異的でそれが広島の機動性を封じ込め勝利に貢献したそうです。強肩甲斐選手の送球が「甲斐キャノン」です。キャノンは戦争で使う大砲という意味ですから、彼の送球はまさに弾丸のように二塁に届いたのでしょう。
キャノンといえば同じ発音で「法律」「規範」「正典」などを表す単語も英語にはあります。あれ、同じキャノンに「大砲」と「法律」という全く違った意味がなぜあるのか?と不思議に思っていたら、実はそもそも「大砲」のキャノンと「法律」のキャノンは発音が同じでも別の単語でした。「大砲」のキャノンは cannon、「法律」のキャノンは canon、n の数が違っています。
さらに調べてみると両者語源も違っています。法律のキャノンの語源は「ものさし」という意味のギリシャ語kanonだそうです。法律は物事に照らし合わせて正しさを判断する尺度、まさにものさしですね。
一方大砲のキャノンは「筒」という意味のギリシャ語kannaがラテン語、フランス語を経由して英語に入ってきたものだそうです。確かに「大砲」の形は筒ですよね。納得しました。
もうひとつ。現在の電気機器メーカーキャノンが開発した最初のカメラもやはりキャノンでしたが、このキャノンは仏教の「観音様」にあやかって命名されたそうです。ちなみに「観音」、観世音菩薩はもともと古代インド・サンスクリット語で、その言葉の持つ意味を中国語に訳して漢字表記にしたものが発音とともに日本にも渡ってきたそうです。
それぞれの言葉、なかなか長い歴史と奥行きがあるんですね。