入学式の話
新入生の皆さん入学おめでとうございます。
今日は映画『ベイマックス』からヒントを得てお話ししたいと思います。
ベイマックスの宣伝のチラシにはこうありました。「優しさは人を救えるか?」
映画を見る私たちに問いかけられています。
皆さんはどう思いますか?優しさで今の世界を、人類社会を救えますか?
簡単に答えが出る問いではありませんね。
国と国の対立、主義と主張の対立、宗教の対立、文化の対立、
そしてその対立を解決しようとして逆に憎しみ、抑圧、殺戮を生み出しています。
報復は報復を呼び、その連鎖は止めどもなく広がっています。これが現実の一つの側面です。
なぜ武力の優位でこの世界はよくならないのでしょうか?
「優しさは人を救えるか?」イエス様はどうこれに答えるでしょうか?
イエス様はこの問いかけに対して「できる」と答えるでしょう。
そしてさらに「優しさのみが唯一の解決法だ」とも言うでしょう。
優しさとは何でしょうか?優しさとは単に単に人に親切にする、といった単純な意味ではなく、
自分がその人のために何ができるか?という自分に対する問いかけ、
そしてその人に徹底的に寄り添う決意です。時としては命までかけて。
そこには強い意思と深い愛情が必要です。
イエス様は十字架にかけられて殺されました。
人々が持っている「人を差別し、否定し、いじめたい」と思う心によってです。
イエス様はそれは間違っているとはっきり言いました。
この思いを伝えるために、暴力によってではなく、苦しんでいる人のそばに立ち続け、
自分の命を与えるまで貫き通したのです。
私たちはイエス様が亡くなった後復活されたと信じています。
復活とはこの弱い人のために徹底的に生きる、命まで、という生き方が大切だということ、
この生き方によってのみ憎しみの連鎖は断ち切れるという神様からのメッセージなのです。
映画の中でベイマックスが言います。
「私はベイマックス。あなたの心と体を守ります。ベイマックスもう大丈夫と言わないと離れません。」
映画を見た皆さんはとても印象深く覚えていると思います。
「もう大丈夫というまで離れません。」これには愛情と意思が求められるものですね。
それをロボットがプログラムされ実行するということが面白いところです。
物語のクライマックス、ベイマックスとヒロとの別れの時、
その時ベイマックスは自分を犠牲にしてヒロを救おうとします。
ロボットが自己犠牲?しかもその時すでにデータカードが外されているのに。
プログラムがないのにロボットのベイマックスがなぜそれができたの・・・
ロボットのベイマックスには意志と愛情があるの????色々思いはめぐります。
映画館ではエンディングで story という曲が流れていました。
映画全体のメッセージがそこにあったように感じました。
I’m not alone. You’re by my side.
I’m standing strong, you gave me hope to carry on.
1人じゃないから
キミがくれた希望で強くなれた
さて今日をもって中学校1年生も高校1年生も人生の新しいステージが始まりました。
今日から新しい生き方をしてみませんか?
仲間と一緒に。仲間がいて、先生がいて、みんなで新しく生まれ変わっていきましょう。
世界を救えるか?という問いには直接に具体的な答えはすぐに見つからないのかもしれませんが、
これから一緒に6年間、3年間過ごしていく仲間に対して、
意思と愛情を込めた「大丈夫だよ」という気持ちをお互いに持っていければ
お友達同士、教師の中で、サレジオ学院の中で、そして社会の中できっと何かが生まれてくるはずです。
それではこのような気持ちを持ちながらこれから3年間、6年間頑張っていきましょう。
最後に「主の祈り」で私の話を締めくくりたいと思います。