フランシスコ教皇の「ラウダート・シ」ゴールズ
先週の阿部神父の話は、フランシスコ教皇が子供の時、まだホルヘベルゴリオだった頃の回心と召命発見のエピソードでした。今日はその続き、ホルヘ少年が教皇になってからのお話をします。
ベルゴリオ神父が教皇になった時、フランシスコという教皇名を選んだのは、彼がアッシジの聖フランシスコを尊敬していたからです。アッシジの聖フランシスコは13世紀イタリアの聖人、貧しくシンプルな生き方を選び、自然の中に神様の愛と慈しみを感じ、それを人々に伝えた聖人でした。13世紀のヨーロッパの気候が温暖だったことと聖フランシスコが自然の中に神様の慈しみを感じたことは無関係ではないでしょう。
ベルゴリオ神父が、貧しく生き、自然を愛したフランシスコを教皇名に選んだことからも、教皇が環境問題を強く意識していることはよく分かります。教皇は教会の環境問題に対するあり方を自身の書「ラウダート・シ」で示しています。「ラウダート・シ」(主よ、あなたを褒め称えます)とは聖フランシスコの神様に対する讃歌の一節です。
「ラウダート・シ」の精神は現在、ラウダートシゴールズ、LSGsという7つの目標にまとめられています。みなさんは環境に対する目標がラウダートシゴールズ、LSGsだと「何だ、SDGsの真似か~」って思うかしれません。確かに環境や自然に対する取り組みには共通の部分がありますが、LSGs特有の視点もあります。それは環境問題への取り組みが神様の前での回心でもあることです。地球や自然、そして人間社会も神様の愛と慈しみの溢れる場であり、人間はそれらを大切にし、きちんと管理する奉仕の使命を与えられています。英語ではそれをstewardship といいます。私たちは自然や人々を傷つけ神様を悲しませている生き方を正し、回心する、これがLSGsの精神です。環境問題への取り組みは神様から私たちに与えられている召命の一つのあり方でもあるわけです。