エンパシー 自然との対話 人との対話
2024年という年は大きな地震をもって始まりました。亡くなられた方、被災された方、そして被害を受けた地域全体の一日も早い復興のためにもお祈りいたしましょう。
私たちはこのような自然災害が起こるたびに自然の力を前にして人間の無力さを思い知らされます。振り返ればこの4年間コロナ禍の中で私たちの生活様式を大きく変えざるを得ませんでした。これもウィルスという自然界に存在しているものが原因と考えれば自然災害と言えるかもしれません。
地球の持つ巨大なエネルギー、あるいは目に見えないウィルスと対峙する時、あらためて人間という存在がいかに小さいものであるか、黙して頭を垂れるよう自然から求められているように感じます。
自然は人間の欲望の搾取の対象ではありません。かえって人間は自然の一部として自然から恩恵をいただく存在です。SDG’sという言葉は、持続可能な「人間社会の発展」のために自然を活用する、という視点から語られることが多いように感じますが、実は自然に感謝する、自然に畏敬の念を持つ、という精神性こそがその土台にあるべきではないでしょうか。
自然に向けられるこのような畏敬の念、謙虚な心は同時に日常生活の中で私たち相互にも向けられるべきものでしょう。目の前の相手に対してリスペクトの心を持つこと、そしてリスペクトをどうアクションにつなげていけばいいのか、自ら考え行動する必要があると思います。相手の心を自分も感じ取り、相手の立場に立ってその人を慮るエンパシーの精神性を培っていくように致しましょう。シンパシーとは一つの感情を表しますが、エンパシーはその感情に加えてそれを表現するスキルを含み持っています。行動として他者に自分の気持ちを伝えるのがエンパシーというわけです。その心を持って被災地の方々に対して自分たちが何ができるのかを考えてみましょう。
最後に。明日1月24日は聖フランシスコ・サレジオの記念日です。ドンボスコは聖フランシスコ・サレジオの柔和の精神を自分のモットーにしていました。ですから彼が修道会を設立するとき「サレジオ会」と名付けました。聖フランシスコ・サレジオは17世紀スイスの司教様です。当時カトリックとプロテスタンの人々は互いに対立していましたが、彼は柔和の心で分け隔てなく人々を導きました。聖フランシスコ・サレジオもエンパシーを生きた一人の聖人と言えるでしょう。