夢見るドン・ボスコに学ぶ夢探しの方法
皆さん、今年の世界のサレジオの学校のスローガンは「ドン・ボスコの9才の夢」です。
ヨハネが9才のある夜、不思議な夢を見ました。草原で子どもたちが遊んでいたんですが何やら喧嘩が起きました。お互いに暴言を吐いたり殴り合ったり。それを見たヨハネは力ずくで止めに入りました。でもうまくいきません。ヨハネが割って入った結果騒動はさらにひどくなってしまったのです。その時声が聞こえてきました。「力で抑えるのではなく優しく教え諭しなさい。」ヨハネは困惑してしまいました。「どうすればいいのかわかりません。」「それでは君に一人の女性の先生を紹介しよう」。すると一人の女性が現れました。女性は指差して言いました。「ごらんなさい。」今までいた子どもたちが猛獣に変わっていました。「これがあなたの持ち場です。謙遜で、強く逞しくありなさい。今動物たちに何が起こるか見せてあげましょう。あなたも私の子どもたちに同じようにしてあげなさい。」すると猛獣はいつの間にかおとなしい羊に変わっていました。
夢の中でヨハネが見た猛獣、羊にわった猛獣は貧しい若者のシンボルです。そして男の人、女の人は誰でしょうか?イエス様とマリア様ですね。
ドン・ボスコ自身がこの夢(1824年ごろ)のことを『自叙伝』(1875年ごろ)の中で克明に書いています。それだけ彼にとって鮮明な記憶として残っていたのでしょう。
さて今さら言う必要はないのですが、この9才の夢は単なる「夢物語」ではなく彼の生涯にわたる使命・召命がシンボリックに語られています。彼の使命・召命とは「貧しい若者が神様の望みに従って自分の可能性を一杯に開花できるようアシストすること」です。ドン・ボスコはそのために「勉強・職業訓練・家庭的な雰囲気・祈る心」を提供しました。これがオラトリオですね。
ドン・ボスコはロマンチスト、生涯にわたってロマン・夢を追い求めました。ドン・ボスコの生涯を振り返ると彼が夢を実現できたヒントが見つかります。今日はそれを学んでいきましょう。
題して「夢見るドン・ボスコに学ぶ夢探しの3つの方法」
夢を発見するためにドン・ボスコが教えてくれることの一つ目。それは「自分が好きなこと・得意なことを知ろう!」です。ドンボスコは子どもの時から手先が器用で、教えることが得意でした。ベッキ村で少年ヨハネは近隣の子どもたちを集めてミサで神父様が話してくれた内容をわかりやすく噛み砕いて説明する勉強会を催していました。でも単なる勉強会では飽きてしまう年下の子どものためにいろんな手品も交えました。そうです、器用な彼は大道芸が得意でした。大道芸、今でいうジャグリングですね。ということはジャグリング部はドンボスコの直系の弟子ですか。得意なことは何かなぁと考えてその延長上にオラトリオがあったわけです。つまりドン・ボスコは自分の得意分野を自分の使命に結びつけたわけです。自分の夢、まだ見つかっていないなら . . . 自分の得意分野が何か考えてみてください。それが自分の使命発見に結びつくかかもしれませんよ。
ドン・ボスコから学べることの二つ目、それは「出会いを大切に!」です。ドン・ボスコにとって生涯の師が二人いました。
一人目はカロッソ神父。家が貧しくヨハネが小学校に行きたくても行けない時、勉強を教えてくれたのはカロッソ神父でした。彼はヨハネを教会に呼んで家庭教師を引き受けてくれました。こうゆうわけでヨハネは小学校に行けなかったけれどカロッソ神父からラテン語の文法を学びました。
二人目の師はカファッソ神父です。カファッソ神父は神父になったヨハネを少年院に派遣しました。司祭ヨハネは少年院で悲惨な貧しい青少年のリアルな姿を目の当たりにして、彼らを助けたいという気持ちを強く持ったわけです。カファッソ神父は猪突猛進のドン・ボスコのことをよくわかっていたのでしょう。カファッソ神父のおかげで彼は人生の方向性が定まりました。
勉強の基礎を愛情深く教えた優しいカロッソ神父、使命の具体的方向性を示してくれたカファッソ神父、もしこの二人に出会っていなければドンボスコは私たちの知っているドンボスコにはならなかったでしょう。偶然の出会いって大切ですね。皆さんも夏休みの新しい出会いを大切にしてください。もしかすると夢探しのきっかけをくれるかもしれませんね。
夢を発見するためにドン・ボスコが教えてくれることの三つ目。それは「自分の召命を祈る!」です。9才の夢はシンボリックに彼の使命を予言していたのですが、それ以外にもドンボスコはいつもイエス様とマリア様に助けや自分の望みを打ち明けてみました。ドン・ボスコは「祈りの人」でした。祈ることを通して生涯、9才の夢の続きを見続けたとも言えるでしょう。彼の召命は祈りによって完成されました。皆さんも夢が見つからない時、「神様、あなたは私に何を求めていすか?あなたが求めている存在になれますように!」「自分の召命がはっきりしますように!と祈ってみてください。
以上3点、「夢見る人ドンボスコの学ぶ夢探しの方法」でした。この夏休み、「得意なことは見つけよう!」「出会いを大切に!」「祈るひとときを!」この3つを試してください。夢が見つかるかもしれませんよ。
(一学期終業式の講話より)