聖マルチノと行基
昨日11月11日は巷ではポッキーの日とか、ベースの日とか言われていますが、教会の暦では聖マルチノの日です。
聖マルチノは4世紀ローマ時代の人物です。人生の転機は彼がまだローマ兵だった時に訪れました。フランスに派遣される途中大雪の中で凍えている一人の貧しい男の人に遭遇しました。かわいそうに思った彼は自分の着ていたマントを半分に裂き、その人に与えました。その日の夜、夢の中で彼の与えたマントを着たイエス様が表れ「あなたがマントを与えた男こそ、この私である」とおっしゃったそうです。彼はその後洗礼を受け、後には修道院を設立し、ツールの司教にもなりました。
日本にも似たような話があります。8世紀奈良時代に行基というお坊さんがいました。ある時彼が有馬温泉に向かって旅をしている時、道端に病人が倒れていました。「どうしたのですか?」と行基が尋ねたところ、その病人は「体が痛くてたまりません。お情けで肌を舐めてくださいませんか?」と懇願するではありせんか。彼はためらわずに言われた通り自分の舌で肌を舐め始めました。するとどうでしょう。舐めたところから金色の光が輝き出て、ついにその人は薬師如来になりました。薬師如来は「あなたの情け深い心には感心しました。これから病人の世話をしてあげなさい。私もあなたを助けましょう。」とおっしゃったそうです。ちなみに薬師如来は人々を病気から救う仏様と言われています。
二つのエピソード、なんだか似ていませんか? 目の前の貧しい人、困っている人に手を差し伸べること、それは尊いことです。聖マルチノや行基法師のような英雄的な行為は難しいかもしれませんが、何か小さなことは私たちにもできるのではないでしょうか。さあクリスマスもだんだん近づいてきました。皆さんもどこかで小さな奉仕の心を実践してみてはいかがでしょうか?