「私はこう思う」の主語 ” I ” はどこ?

アメリカ大統領選挙でトランプさんが勝利した後レディーガガさんがトランプさんの自宅前で「トランプ嫌い」と連呼したという報道がありました。実はこれは誤報で、レディガガさんが持っていたプラカードには Love trumps hate. 「愛は憎しみに勝つ」と書いてあったのです。どうしてこんな誤訳が報道されてしまったのでしょうか?

 

これには英語と日本語という二つの言語の違いがあるように思われます。英語と日本語の違い、おおきく2つあります。日本語は比較的言葉の順番には自由度があります。「トランプ嫌い」でも「嫌い、トランプ」でも聞いた人には同じ内容が伝わります。しかし英語は語順によって意味を伝える言語です。文型が大切です。

 

皆さん、Love trumps hate.と書いてみてください。文型は . . . 第3文型ですね。最初に来るlove は主語、次に来るtrumps 動詞です。そして3番目の位置の目的語は hateですね。英語の語順、文型だとどうしても「愛は憎しみに勝つ」という意味にしかならず、絶対に「トランプ嫌い」とはなりません。また言葉を入れ替えて Trump loves hate. としてしまったら全く意味が変わってくるでしょう。英語は語順で意味が決まる言語です。報道はきっと Love trumps hate. という短いフレーズを一つの文とは思わず無意識に日本語的に解釈してしまったのでしょう。

 

もう一つの英語と日本語の違いは「主語の有無」です。もしレディーガガさんが「トランプ嫌い」と言いたかったらおそらく「私が嫌いなんだ」と主語 I を文頭に持ってきて “I hate ~ ” ことでしょう。一方日本語では主語を入れなくても「トランプ嫌い」と言えてしまいます。主語がなくてもなんとなく「あ~この人嫌いなんだな~」と相手は理解してくれます。国語はその人の思考法に影響します。

 

今日のポイントです。日本語は主語かなくても自分の考えを言えます。便利なようですが、「私はこう思う」と言わなくても済んで自分の意見に責任を持たなくてもよくなってしまいます。でも考えを述べる時「私はこう思う」と主語を入れて自分の意見として責任をもってはっきり言わなければならないことがあります。これは英語を話すときだけでなく、国際的な場面で必要なスキルです。

 

日本語の特徴を踏まえて上で今日はこのようなことを皆さんにお伝えしました。