「平和」と「戦争」は対義語?
みなさん対義語って知っていますよね。「意味として対、反対になっている言葉」と説明されています。「表」と「裏」、「上」と「下」、 「始め」と「終わり」などでしょう。
さて今日は「平和と戦争」という言葉を考えてみましょう。確かに対義語だと思うでしょう。でも、現実の世界の中ではたして「対」となっているでしょうか。「平和」と「戦争」、それぞれの言葉に人はどのように感じ、どのようにリアクションをしているか、ということを考えると、必ずしも対等なものではないような感じがします。
例えばマスコミからの影響。どうも「平和」よりも「戦争」の方がインパクトが大きいようです。どうしてでしょうか?先日あるラジオ番組でとても興味ある指摘がありました。それは「平和」と「戦争」では言葉の抽象度が違うということです。少し紹介しましょう。
ネットで「戦争」という言葉で画像検索すると、まず多くの「戦場の写真」が現れます。それらは非常に臨場感があります。
では「平和」はどうでしょうか。「平和」を画像検索すると、鳩、人々が手をつないでいるイラスト、地球、折り鶴などです。抽象的ですね。間接的、抽象的なイメージであるため、受け手の側の想像力、思考力や感性が求められるます。
このように考えると、「戦争」というメッセージを伝える方が、「平和」というメッセージを伝えるよりも具体的、直接的な分だけ容易で、結果伝わりやすいわけです。
一方「平和」を伝え、「平和」の大切さを人々に訴えるためには、抽象度が高い分だけ努力、工夫、情熱が求められます。そしてその努力を怠ると世界は簡単に「戦争」へと引っ張りこまれてしまう恐れがあります。
普段対義語だと思っている「平和」と「戦争」、実は両者が必ずしも対等なものではないということをこの番組を通して考えさせられました。
みなさんも「平和」と「戦争」という言葉の意味を、そして現代世界の状況から自分なりに見つめてほしいと思います。