始業式の話
「主の祈り」をもって新しい2017年度をスタートしましょう。
今日は2つの話をします。
一つ目は年度の初めに当たってサレジオ学院の今年の目標を紹介です。
we are family.
これはサレジオ会の総長フェルナンデス神父様が全世界のサレジオの学校に向けて「今年これを実現しましょう」と呼びかけたスローガンです。フェルナンデス総長のこの呼びかけに従い、サレジオ学院の年間目標も「私たちは家族だ」ということにしました。
「サレジオ学院は一つの家族だ」とはどのようなことを目指しているのでしょうか。それは一人一人を大切にしよう、ということです。当たり前のことのように響きますが、なかなか難しいものです。昨日入学式では新入生の皆さんに「愛」についてお話ししました。その愛とは「人を思いやる心」です。
もう一回コリント前書を昨日のバージョンで読みます。
私は忍耐強い、私は情け深い。私はねたまない。私は自慢せず、私は高ぶらない。私は礼を失せず、私は自分の利益を求めない。私はいらだたず、恨みを抱かない。私は不義を喜ばず、真実を喜ぶ。私は全てを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。私の愛は決して滅びない。
これが私たち一人一人の今年の具体的な努力目標です。
二つ目の話。マザーテレサが1981年日本を訪問した折のエピソードです。マザーが日本に来た時このような話をしました。
「けさ、私は、この豊かな美しい国で孤独な人を見ました。この豊かな国の大きな心の貧困を見ました。カルカッタやその他の土地に比べれば、貧しさの度合いは違います。また、日本には貧しい人は少ないでしょう。でも、一人でもいたら、その人はなぜ倒れ、なぜ救われず、その人に日本人は手をさしのべないのでしょうか。」
このようにマザーテレサは私たち日本人に遠いインドの国の貧しい人に手を差し伸べる前に、まず身近なところ、目の前の困っている人のために何かをしてくださいと訴えました。
愛は家庭から始まります。
まず家庭の中で不幸な人を救いなさい。
両者が愛し合い、
母親が家庭の中心となりなさい。
平和とうるおいの家庭が築けたら、
隣人を愛しなさい。
自分が、自分の家庭が、
愛に満たされなければ隣人を愛せません。
マザー・テレサ
(1981年4月、初来日の際)
皆さんにとってサレジオ学院は日常を共に過ごす家庭ですから、隣の人に愛を届けましょう。
具体的には「お前はいらない」というメッセージが届かないようにすることです。
「お前は僕と考えが違うからお前はいらない」
「お前とは合わないからお前は消えろ」
これはいじめです。いじめはこのような気持ちから発生します。お互い「分け合う、受け入れる」心を持つようにしましょう。
皆さんは将来、世界の中で戦争や貧困で苦しんでいる人々、誰にも気づかれずに苦しんでいる人に手を差し伸べることができるようなグローバル人材になります。そしてこのようなグローバル人材となる最初のステップは、まず学校の中で、教室の中で始まります。
グローバルな人間になるために、まず毎日のクラスの中に、サレジオ学院の中に「家庭」の雰囲気を作り出しましょう。