2 サレジオ学院は、生徒一人ひとりが神様から与えられた使命(ミッション)を実現するための場所です。「25歳の男づくり」の言葉のとおり、生徒が自分の使命を実現できる大人になるための全人的な成長を促すよう、私たちは、彼らの傍らにいつでもあり続ける「アシステンツァ(共にある教育)」を日々実践しています。 人は神様に愛されると同時に、神様を求めていく存在であり、そうして自分が感じ取った神様の愛を人々に伝えていく存在でもあります。サレジオ学院では学力だけでなく、神様の愛を人々に伝えていく際に必要な「価値観」と「スキル」を同時に養ってほしいと考えています。生徒に身につけてほしい8つの価値観と11のスキルを「ルーブリック」としてまとめ、それぞれの項目における自分の成長を1年ごとに振り返り、次年度につなげていく機会を設けております。 また、サレジオ学院では、男子の成長に合わせた、それぞれの発達段階にふさわしいプログラムを準備しています。どの教員が担当しても同じ成果が得られるよう、それらを「学びのマップ」としてまとめ、各プログラムの意義を明確にしております。その中で、6年間の学びを3つの段階に分け、〈中1~中2〉〈中3~高1〉〈高2~高3〉のそれぞれの発達段階に応じた「価値観」や「スキル」を身につけることができるように指導していきます。 〈中1~中2〉は「25歳のベースづくり」の時期と位置づけ、学習習慣の育成はもちろん、宗教の授業や学校行事を通じ、価値観や人間関係の基礎づくりを行っております。〈中3~高1〉はいわゆる「中だるみ」の時期にもなりかねません。したがって、この時期を、人生の進路を考えさせ、モチベーションを高めながら、考える力や幅広い知識を養成するための「25歳のビジョンづくり」の時期と位置づけ、卒業生の体験などを聞く進路講演会、職場訪問、2泊3日の進路ガイダンスなどを行っています。〈高2~高3〉では、いよいよ自らの使命を意識しながらサレジオ学院6年間の総仕上げを行います。1人ひとりの生徒が自分の進むべき進路へ向けてそれぞれの線路を敷いていく「25歳のレールづくり」の時期となります。学年団や教科指導教員・進路指導部のサポートを最大限に受けながら、目指す大学に合格できる学力を身につけていきます。 さらに、サレジオ学院では、同級生同士だけでなく、学年の枠を超えたタテのつながりが実現できる部活動・同好会活動への参加も奨励しています。現在、中学生の大部分が部活動・同好会活動に参加しているのはたいへん喜ばしいことです。また、体育祭、サレジオ祭などの学年を超えて協力し合う学校行事も、教育の一環として大切にしています。このような行事を企画、運営していくことを通して、意見の違いを超えて一つのものをつくり上げる経験をたくさん積んでほしいと考えています。 そして、サレジオ学院は、生徒一人ひとりの心のサポートも大切にしています。「カテキスタ」というサレジオ会の神父をはじめとする教員のグループが、学校内で展開される宗教行事、ボランティア活動の中で生徒との心の触れ合いを実践しています。また、「カテキスタ」の重要な役割の一つとしてカウンセリング部門があります。カウンセリング担当者、スクールカウンセラー、養護教諭、各教員や保護者の方々を交えながら、悩み事の生じた生徒がいつでも相談できる体制を整えています。 私たちは、ドン・ボスコの教育理念をこのような形で具体的に展開し、生徒一人ひとりが将来、社会人としてのリーダーシップを発揮し、イエス・キリストの精神に満ちた社会を築き上げる「25歳の男」となってくれることを目指しています。校長・サレジオ会司祭 鳥越 政晴校長からのことば
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